flowers 〜ココロノハナ〜
発売元:CRAFTWARK side.b
発売日:98年12月11日
記入日:99年3月7日

 このゲームは、高校2年になった主人公が約1ヶ月の間に彼女を作ると言った内容のゲームで、内容の方はリーフの名作「TO HEART」にそっくりです。期間が2年の始まりからゴールデンウィークといったところも同じで、違うところといえば、主人公が通っている高校が元女子校で、男子の絶対数が異常に少ないことぐらいでしょう。悪く言ってしまえば二番煎じのこのゲームが、どこまで他ゲーに迫れるかがプレイ前のポイントだったのですが…。
 評価の方に行きましょう。
 まずはゲームを支えるシステム群。このゲームはフルマウスオペレーティングになっていて、キーボードはまったく使えない。個人的にはAVGをマウスでするのが嫌いなのだが…。まあ、ジョイパッドにマウスの動きを割り当てているからまだいいけど、できたら両方に対応して欲しいな。キーボードの方が、どう考えても高速かつ確実に入力できるもんね。マウスだと、セーブとロードを間違えたりするしね。
 そうそう、このゲームのセーブとロード、妙に接近しすぎているんだよね。セーブ画面とロード画面はメニューの背景色を変えるとかの、ちょっとした配慮が欲しかったな。
 他に気になる点と言えば、無意味にでかいセーブデータ。十数個のデータを1個のファイルで管理しているんだけど、その容量がなんと2MB。別にそれくらいじゃこの大容量時代では驚くことではないかもしれないが、問題はそれを圧縮すると10KB位になるところ。要するに無駄だらけというわけ。くだらないことかもしれないけど、ゲームのシステム自体が、数枚のフロッピーで供給されていた頃からパソゲーをやっている私には、どうもこういうところが引っかかるんですよね。
 ちょっと批評が続いているので、評価できるところを見てみましょうか。
 このゲームで他の作品に見受けられないところは、キャラクターが喋っている最中は音楽のボリュームが自動的に絞られる点でしょう。音声と音楽のボリュームの調整は難しく、常に大音量でゲームをする私にとって、音声の存在は頭の痛め所なので非常にありがたかったですね。
 もう一つは、説明書に6ページにわたって書いてあるトラブルシューティングですね。実際に必要になるかどうかはともかくとして、こういう制作者の姿勢には非常に好感が持てます。
 次に、先ほどちょっと触れた音楽に行きましょう。このゲームの音楽はWAVを使用しています。個人的にはCD−DAが使えないのならMIDIの方がいいのですが、万人向けという点ならやっぱりWAVになりますね。そのWAVを使ったゲームの中では、音質・曲ともに最高ランクなんじゃないでしょうか? 残念ながら頭にこびりついて離れないといった曲はありませんでしたが、WAVだから貧弱といった感じはしませんでした。
 グラフィックの方は、取り込み色のやたらと強い背景がちょっと目に付きます。ああいうのって、地元の人だったら一発でわかるんだろうね。
 最後に肝心のゲーム内容の感想です。プレイヤーを楽しませる台詞づくりという点なら、ほかの良質ゲームと何ら遜色ないんじゃないでしょうか? キャラクターにも個性派が多く、それらを非常に上手く使いこなしていました。特にユズ子と主人公の通称『夫婦漫才』はなかなかいけましたね。しかしながら、前半に全画面グラフィックを使うような大きなイベントが各キャラクターともなかったので、初めの内はなんだかわからないまま進んでしまうことが多かったのが非常に残念です。あと、イベントが起こらなかった場合のメッセージにもっとパターンを持たせるべきだったんじゃないでしょうか? なにもなくても、大きなイベントの後家に帰ってきても、「ああ疲れた」じゃおかしいでしょう。こういうつまらないところにも力を入れて欲しいですよね。
 それと、このゲームは攻略に失敗していてもイベントが続いてしまうことがあり、どこで失敗したのかわからないといった点が少々見受けられました。約一キャラは、攻略記事を読まなくては半分の人は引っかかるんじゃないかと思えるようなフラグ立てもあり、それが私の総合評価を大きく落としてしまいました。
 ただ、数キャラは素晴らしいシナリオもあり、その引っ張り具合だけを取ればトップ10にランキングされるだけのものはありました。損得を問われれば、間違いなく良かったと言えるゲームだと思います。ネタバレの関係があるので、その良さが表現できないのが残念ですね。


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