デュエルセイヴァー ジャスティス |
いや〜、約1年ぶりのレビュー作成となりました。 ギャルゲーのレビューだと4年ぶりとなります。 ここ数年、多忙の上にラグナロクオンラインばっかりやっていたので、オフラインゲー……特にギャルゲーのレビューはもうないと思っていたのですが、最近行ってなかった知り合いのゲーム店にて、私生活でのちょっとした義理もあり、「久しぶりにオフラインゲーでも買ってみようか」と思い立ち、手軽にできる「アクションゲーム」を条件に見繕って貰ったものが、この『デュエルセイヴァージャスティス』だったのです。 そんな調子でしたので、ゲームに対する前知識は全くなしでした。(もちろん、このゲームが以前発売されていたゲームの追加システムバージョンだと言うこともです。) 今までの経験からして、だいたいこの手のゲームに対する認識は、「アクションとシナリオの比率が8:2……ややもすると9:1」。 つまり、私はアクションゲームとしての期待以外は全くしていなかったのです。 実際、過去に戯画およびTGLの作品も何作かプレイしているのですが、同社のゲームにしてもその傾向はあったと思います。 しかし、このゲームは初め1時間程プレイして、己が考え違いをしていると感じました。 アクションパートにほとんど入らなかったのもそう思った理由の一つですが、読み進めてみて思ったのが、私がこの手のゲームを良くやっていた頃のテキストレベルと比べても何ら遜色はなく、聞き取りやすい声優さんたちの声が、じっくりとその世界に浸からせてくれるということでした。 私自身が数年間この手のゲームから離れていたため、『飢え』によるものも多少なりあるかと思いますが、とにかく久しぶりに「家に帰って続きがしたい」という感覚に囚われたゲームです。 ……と、前置きが長くなりましたが、ストーリーの方を簡単に紹介します。 主人公・当真大河とその妹、当真未亜は、『アヴァター』と呼ばれる魔法が存在する異世界に突如召還される。 1000年に1度、『破滅』と呼ばれる存在からの侵攻を受ける『アヴァター』には、救世主伝説なるものが存在し、その救世主の候補生を育てる学園が存在したのだ。 「救世主になればなんでも思うがまま」という言葉につられ、ハーレムを夢見て救世主候補としてその学園に入学することになった大河達だったが、そこで知り合った同じ救世主候補の仲間たちと試練を乗り越えていくうちに、徐々に救世主伝説の真の姿が現れ、彼らを翻弄していく。 果たして、大河は救世主となることができるのか? だいぶ簡略化して書きましたが、だいたい伝わると思います。 舞台はありがちな中世ヨーロッパ風の世界。登場するヒロイン達は魔法使いや僧侶、忍者など、今までファンタジーの世界に浸かってきた人たちには親しみやすいものばかりで、基本的にライトノベルの感覚で読めるシナリオです。 さて、いつもやっているようにシステムから切り崩していきましょう。 システムに関して、ほとんど突っ込む事はありません。ユーザーの声をよく聞いて、取り入れていった結果といえるでしょう。 今までやってきたゲームの中で、良いと思っていたシステムはほとんど採用されていました。 それ以外に、このゲームで初めて見たものを挙げると、『キャラクター別に台詞が色分けされている』『過去ログ画面で音声を再生できる』でしょうか。前者は細かい親切とでも言いますか、メッセージ頭にキャラ名が表示されているとはいえ、いちいち読まなくても色で誰か判るというのは面白いやり方だと思います。 まあ、声を聴けば誰かすぐに判りますけど……。 後者は盲点というか何というか……今ではごく普通の仕様なのかも知れませんが、思わずもう一回聴きたくなる台詞っていっぱいありましたからね。助かりましたよ。 これも、声優さんが良い声を出していたからこその話ですけどね。 次にグラフィックです。 グラフィックは特に個人的な趣味が入りやすい部分ですので、評価することに意味があるのかどうか判りませんが、現代物にありがちな背景取り込みフィルタ掛けまくりなどではなく、きちんと1から描き起こし、細かいところまで塗ったと思われる背景には好感が持てます。普通の立ち絵だけでなく、イベント用の絵の背景もきっちり描かれていますので、相当時間が掛かったんじゃないかと思います。 戦闘用のグラフィックも良く描き込まれていますね。初めは動き重視のために荒く作ってあるなと思ったのですが、じっくり見てみるとこちらもなかなか細かく描かれています。 立ち絵の変化の多さも見事でした。場面によっては、キャラクターがしゃべっている途中に表情が変わっているところとかもあって非常に芸が細かいなと感心しました。 ただ、一つだけ注文があります。イベント用の絵に、不必要に18禁ゲームを意識したものが多かったのが気になりました。 平たく言えば、パンチラ多すぎ。 私はゲームが終わったあと、好きな絵を加工してデスクトップに飾っているのですが、せっかく綺麗な絵があっても、そう言うのがあると使いたくても使えないんですよねえ。 まあ、メーカー側に言わせるとそう言うゲーム外のことまで知ったことではないのかも知れませんが……。ちょっと、勿体ない気がしました。 さて、私がゲーム本体と同じくらいに期待している部分。サウンドに行きましょう。 レベル的には、最近のゲームの中ではかなり上の方かと思います。私は良く多方面で、「最近のゲーム音楽は主旋律が周りの音でかき消されているので覚えにくい」と言っているのですが、そう言う面から見てもまだましな部類にはいると思います。 ただ、どれもこれも鼻歌で歌いたいというほどのレベルかというと、そこまでは行ってないでしょうか。まあ、曲自体が少し難しく歌いにくいというのも一因だと思いますが……。 あと、曲数はあるのですが、同じようなイメージの曲が多くて、どれがどれか区別が付かないのも欠点の一つかも知れませんね。 とりあえず、気に入った曲を書き記します。 まず、ぼけぼけっとしたシーンでよく使われていた「BA RA BA RA」。その速いテンポと乗りやすいリズム音で、思わず身体が勝手に動く「Judgment Time」。イントロ部分が秀逸で、感動的なシーンをより盛り上げる「千年の想い」。思わずキー捌きも速くなる荒々しいリズムの「Traitor!」。中・後半部分に中毒性のある「最終防衛戦」。戦闘用曲の中では一番覚えやすくてかっこいい主旋律を持つ「Divine Soul」。そして、使われている綺麗な音色の全てがどことなしに寂しげな、非常に私好みな曲「思いと言う名の宝石」。 ……あれ、結構出てくるものですね。 まあ、曲数も40曲近くありましたからね。 それと、忘れるわけに行かないのが、オープニング曲の「Fatally」です。この曲は、今まで聴いたゲームに使われた歌の中ではナンバー1ですね。 私はゲームを起動する度に、よっぽど時間がない限りオープニングは見るようにしているのですが、クリアにかなりの日数が掛かったので何十回とこの曲も聴きました。本来なら飽きるほど聴いている筈なのですが、その格好良さは何度聞いても飽きることがありませんでした。 私の『超お気に入りゲーム曲』リストの中に名前を残す事になるでしょう。 ちなみに、戯画のHPで現在無料でMP3データを落とせますので、興味がある人は一度聴いてみてはいかがでしょうか。 ところで、曲の善し悪し以前に、気になったことがあります。 これはさっき敢えて書かなかったのですが、音楽関係のシステム面で数点注文を入れたいのです。 まず、コンフィグ画面で設定できる、右上の曲名表示です。 ゲーム中に曲名を表示するという機能は最近流行のようで、他のゲームでもよく見かけますが、いかんせん表示されている時間が短すぎます。短い日本語ならともかく、英語を読んでいる時間はまずありません。 どうせミュージックモードを見れば判ることなんでしょうが、せっかくつけた機能ですので、活用できるレベルに調整して欲しかったですね。 それと、そのミュージックモード。このゲームの仕様なのですが、コンフィグで「ウインドウが非アクティブでもゲームを動作させる」を選択しても、実際にウインドウを非アクティブにしたときに、音楽だけはならないんですよね。 だいたいの人が、ミュージックモードを利用するときと言うのはゲームを全て終わらせて、その余韻に浸っている頃だと思います。でも、純粋に音楽だけを聴いているって人が全員というわけじゃないと思うんですよね。 事実、私は昔からレビューを書いているときは、そのゲームの曲を掛けながら書いています。(このHPのコンテンツに、昔のゲーム音楽を語るコーナーがありますが、その話を書いているときですら、その曲をわざわざ引っ張り出してリピート演奏しているぐらい徹底しています。) そう言うときに、ミュージックモードがそう言う仕様だと、テキストを入力しながら音楽を聴くという芸当ができないのです。 これだと、せっかくのミュージックモードを活用する機会を減らしてしまいますよね。それが、ちょっと残念な気がしました。 だったら今現在デュエルセイヴァーの曲を聴かずにレビューを書いているのかというと、ノートにゲームをインストールしてしっかり聴いているのですが……。(ぉぃ あ、一つ忘れてました。 音楽も確かに良かったのですが、それとは別に高く評価したいのがSEです。 この数年の間に確実に、技術が向上した形跡が見られました。 特に驚いたのが、群衆の声です。 私は普段ヘッドホンを使用してゲームをしているのですが、実は2回ほど、外から声が聞こえているのかと勘違いしてヘッドホンを外したほどに、リアルなものになっていました。 ちなみに、私の家は車の走る音一つ聞こえない程閑静なところで、昼ならともかく、夜外で人が話ながら歩いていることなどまずありません。ましてや、その声がヘッドホン越しに聞こえるなど皆無と言っても良いでしょう。それでも、外して確認しないとゲームのSEだと信じられなかったのですから、これは驚嘆するに値するでしょう。 きっと音のバランスや混ぜ方など、色々研究した結果だと思います。 さて、無駄にサウンドの評価が長くなってしまいましたが、次にアクションゲームとしての本作の評価をしたいと思います。 ゲームシステム自体は私の好きなサイドビューのごちゃキャラアクションゲームです。基本的に90年代ブームを巻き起こした格闘ゲームの良いところを継承してはいますが、ボタンの数が3個と少なく、なおかつ複雑なコマンドシステムを採用していない(せいぜい、方向キーとボタンの組み合わせ程度)ので、アクションゲームが苦手な方でも十分楽しめるんじゃないでしょうか。このシステムはどちらかというと90年代と言うより80年代ゲーマーな私としては嬉しい限りでした。 簡単な操作で気持ちの良いコンボをガンガン入れられるので、ストレス解消には持ってこいです。 ただ、上級ゲーマーからしたら物足りない仕様かも知れません。事実、アクションゲーマーとしては中の下(自己評価)の私ですら、3週目からずっとハードでプレイして、部分的に手こずりはしたものの、一応最後までクリアしましたので。 もっとも、それはあくまでもゲーム本編の話。このゲームのもう一つの顏と言うべき追加授業に関しては、その内容を見た人は「どこが授業なんだ!」と言っているかも知れません。 特に凶悪なのは、このゲームの戦闘システムの特徴の一つである見切りガードを利用した『見切りガード練習道場』。 敵の攻撃に合わせてタイミング良くガードボタンを押すのですが、簡単な単発攻撃ならともかく、「こんなもん実戦で使うか〜!!」と言いたくなるようなものもちらほら。そんなのが300面以上存在するので、それを攻略するだけでも相当な時間が掛かります。 面倒だったらやらなければ良いじゃないかという方もいるかも知れませんが、攻略して行かないとご褒美グラフィックが見れない仕様になっているので困ったものです。 ゲームを攻略する限りは、全部のグラフィックを見ないと気が済まないという方の中には、この仕様のおかげで困り果てているかも知れませんね。 事実、私も困り果てている一人です。一応、後1つを残すところまでは来ているのですが……。 ホーリースプラッシュ……あれは私には無理です。(大泣 今度は、アドベンチャーゲームとしての本作の評価に入りましょう。 冒頭でも書きましたが、半分はアクションゲームという顔を持ちながらも、アドベンチャーゲームとしての顔も大したものです。 特にそのシナリオの長さはなかなかのもので、1人目を攻略した時点で、ちょっと昔のゲーム(大昔ではない)を全部攻略したぐらいの満足感を得られました。 ゲームの総プレイ時間も細かく計算していませんが、だいたい1日1時間弱、休みの夜は2〜4時間ぐらいプレイして2ヶ月弱(!)掛かりましたので、50時間以上なんじゃないでしょうか? ちなみに、一度読んだ台詞を飛ばして、新規の台詞はボイスまでしっかり聞いた結果での数字です。(もっとも、戦闘シーンを含んではいますが) ゲーム屋の知り合いには、手軽に遊べるアクションゲームを注文したはずなのですが、今思えば全然手軽じゃないゲームでしたね。 まあ、このゲームに時間を使ったことに全然後悔はしていませんが……。 話の内容の方もなかなかなものでした。シナリオに関してだけ言えば、90点以上の評価を付けても良いとは思っています。 さて、長くなりましたが総評に入りましょう。 このゲーム、途中までは本当に完璧だと思いました。しかし、ゲーム全体が終わりに近づけば近づくほど、だんだん納得いかない部分が増えてきて、全部終わらた時には「勿体ない」という気持ちだけが残ってしまいました。 その一つが、「アクションゲームとアドベンチャーゲームのバランス」でしょう。 このゲームは選択肢分岐型のゲームではなく、途中でマップ選択画面が入る、アドベンチャーゲームとしては比較的難しい形式を採用しています。(マップ選択式のゲームというのは、何個とある選択肢を選ぶシーンが大量にあるゲームと取れますからね) シナリオ攻略に失敗したら、失敗したと思われる場所からやり直すのですが、このゲームは会話の途中に戦闘シーンが入ってきます。会話はスキップできてもこの戦闘シーンはスキップできないので、思った通りのシナリオにはいるまで、この無駄な戦闘シーンを繰り返す羽目になってしまうのです。 ちなみに、戦闘で上がったレベルは、シナリオを最後まで進めないと持ち越せないシステムになっています。途中でやり直してしまうと、そこまで進めた戦闘シーンで上がった経験値は、時間と共に全て無駄になってしまうのです。なんか、嫌になりますよね……。 しかも、マップ選択式であるが故に、どこまで戻ったらいいのか判らないのも問題です。 実を言うと、これだけ書いておきながらも私自身シナリオではほとんど引っかかっていません。(実質途中でやり直したのは1回でした) でも、後で攻略サイトとかを見ていて、引っかからなかったのが単なる偶然だったと知ってぞっとしています。 これ以上はネタバレになるのでここでは書きませんが、このあたりで評を落としたとなると非常に勿体ないって感がします。 それともう一つは……いや、これもネタバレコーナー行きですね。 とにかく、この2点。これが、今後の戯画の課題なんじゃないでしょうか。 本当に、素晴らしいゲームだとは思いますよ。正直銀メダル級だと思います。 だけど、あと一頑張りすれば金メダルだったかと思うと……。 やっぱり、『勿体ない』の一言で、このレビューを締めますね。 |
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