シルバー・ジーン |
このタイトルには特別な思い入れがあります。と言うのは、このミューティア・クロニクルシリーズは、まだPC−9801というパソコンが日本のパソコンシェアの大多数を占めていた頃に、当時フォア・ナイン(後にアプリコットを経て現在に至る)という名だった同社から発売されたGAO・GAOシリーズをリメイクしたもので、私自身がこのGAO・GAOシリーズの3、4作目が非常に好きだったのです。 どのぐらいに好きだったかというと、メジャータイトルをのけた好きなゲームを挙げろと言われれば真っ先に挙げるほどで、今でも曲だけならしょっちゅう聴いているほどなのですが、残念ながらその1作目・2作目は未プレイで、このリメイクをずっと待っていました。 とはいえ、なかなか出なかったですね。待ちに待ってやっと出たと思ったら、今度は自分小説書いたりして全然出来なかったり。(^^;;; それは別話なのでおいておいて、話を進めましょう。 この作品はGAO・GAOシリーズの「ラジカル・シークエンス」のリメイクに当たる作品です。94年発売という事で元がかなり古く、好きな会社のゲームながらもあまり過度の期待を抱かないようにしてプレイしたのですが、どうだったでしょうか? 簡単に作品紹介します。大学生柴田祐二は、冬のある日ごみ捨て場にて、寝の耳と尻尾がついた女の子を見つける。記憶喪失の不思議な少女にミィと名づけた祐二は、彼女の記憶を取り戻す鍵を見つけるために一緒に街中を歩き回るが、そんな二人を謎の人物が付回す……。 最近珍しくなった一本道のアドベンチャーゲームです。 さて、恒例のシステム虐め……もとい、システムの評価に入りましょう。 まず最初に一番目に付いたのが、既読のメッセージを自動的に飛ばす機能です。マルチエンディングのゲームでは最近常備されつつある機能ですが、一本道のゲームでは初めて見ました。しかしながら、結構便利なものですね。この手のゲームは同じコマンドを何回も選択する必要があるので、同じものを何回を見る事が時間の無駄になっていたので、これを搭載したのはとっても良かったと思います。 あと、メッセージの読み返し機能も、グラフィックや音楽まで元に戻るという他のゲームにはない追加部分があります。特に、グラフィックが戻るというのは、キャラクターの顔グラフィックの種類が豊富なこのゲームに置いて、思わず見逃してしまった絵をもう一回見たいという時に非常に役に立ちました。 クイックセーブ&ロード機能も意外と便利ですね。カーソルをボタンに合わせることによって出てくるメッセージも、さり気なく色分けしてあり間違えを防いでいます。 上記3点、色々なゲームの良いところ、悪いところをよく研究した結果のものと思われます。 それと、タスクを切り替えた場合、音が鳴る設定とならない設定を切り変えれるのには驚きました。私は音が鳴った方がいい人なので……。(ゆきのかなたの時には、WAVEの場合音がならなくて困った覚えがあります。) その割には、フルスクリーンでタスクを切り替えると元に戻れない初期バグがありましたが……。(^^;;; あと、セーブ画面にその時の背景がサムネイル表示されるのもいいと思いますよ。 以上、システム面ではかなりプレイする側のことを考慮されており、好感が持てました。 ただ、右クリックでメッセージウインドウを消したあとも、右下の方でアイコンがくるくる回っているのはどうかと思いました。というのは、私はシステムの画面セーブ機能を使わずに、キャプチャーソフトを使用しているので、それが写ってしまうのですよ。まあ、グラフィックモードで見れば終いなのですが、どうせならそれも消せる設定が欲しかったですね。 あくまでも超個人的要望ですが……。 次にグラフィックに行きます。 キャラクターデザインは、好き嫌いがあるので何ともいいようがないのですが、取り立てて綺麗という訳でもなく、かと言って馴染めない絵でもなくといったところでしょうか? たまに、馴染むのに時間が掛かる絵があるので、それに比べたらはるかにましでしょう。 まあ、見慣れているというのもあるでしょうけどね。(^^;;; それよりも、このゲームで特徴的なのは顔グラフィックの豊富さですね。キャラクターの表情の豊かさには舌を巻きます。ゲームを盛り上げるのに、充分役たっていますね。 そしてサウンド……個人的には、この会社のサウンドは非常に好きなのですが、今回も非常にいい感じでした。 ただ、非常に残念だったのが、曲にタイトルがない事。他のシリーズは全部あったのに、何でこのゲームにはないんでしょうね? MDに落とす時に、タイトルがないのは寂しいです。 では、好きな曲を上げます。 タイトルがないので、鳴っているシーンで表現しますが、まずオープニング。これは、乗りがとってもよくて、数回聴いただけでフルで覚えてしまいました。 それと、少し寂しいシーンで鳴っている曲(16番の曲です)が、凄く場面を引き立てる役に立っていました。 あと、第8章のメインテーマとも言える13番目の曲、緊迫したシーンで鳴っている6番目の曲とかも結構好きですね。 しかしながら、それよりも気になったのは、ワイルドフォースで聴いた曲がいくつかあったこと。わかるだけに思わず『にやり』ですよ。(もっとも、順序から考えてこっちが元かもしれませんがね) では、シナリオを含む総評に入ります。 私自身、このゲームのシナリオ担当である三峰奈緒さんの話の作り方が非常に好きで、自分の書いた小説の参考にもしていたぐらいなのですが、元がワイルドフォースや夢幻夜想曲よりも前の作品という事で、その辺に興味がありました。 実際やってみたところ、やっぱり三峰さんの作品だと思いました。敵方に嫌味を持たせないところ(例外はありますが)など、随所に今の作品の片鱗が見えますね。 ゲーム自体は好きな世界で、物語で個人的には楽しめました。特に、豊富な顔グラフィックとメッセージを上手に使って思わずくすりとさせるのは、このシリーズの特徴ですね。あからさまに受けを狙ったものではないですが、波長が私に合っています。個人的には、気分転換にするゲームとしてはいいんじゃないかと思います。 ただ、やはり悲しいかな8年前(!)の作品という事で、内容の薄さに物足りなさを感じてしまいましたね。マルチエンディングの1本のシナリオより薄く感じてしまうと、その時点で一本道のゲームとしてはきついですね。 残念ながら私には『ラジカル・シークエンス』からどのぐらいアレンジされているのかがわからないのですが、多分もっともっといろいろ追加出来たんじゃないかと思います。 ちょっときつ目の一言ですが、今後のミューティアシリーズは『前作とは別ゲー』と呼ばれるぐらいにしていかないと、他社の新作と並んで売上を伸ばすのは難しいでしょう。 好きな会社だからこそ、あえて苦言を呈します。 今後のキャンドルに更に期待して……。 |
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