イース −フェルガナの誓い−
発売元:日本ファルコム
発売日:2005年6月30日
記入日:2005年7月18日

 実に久しぶりのゲームレビューは老舗中の老舗で、昔のパソゲーに関わったものでその名を知らぬ者はいないと断言できる日本ファルコムの作品です。
 実はこの作品、そもそも
ゲーム目的で買ったものではありませんでした。私の本当の目的は、初回特典の8枚組音楽CD! 普通に定価で買えば2万円はするだろうと言う代物です。(^_^;)
 まあ、ゲームミュージックマニアを自称するならこれは押さえておかないと……と思い購入したものの、やっぱりゲームもやらないと勿体ないなと思ってプレイしたが最後、嵌ってしまいました。正直、今のファルコムスタッフの実力には舌を巻かざるを得ないですね。

 さて、このゲームのことについて全く知らない方のために説明します。実は私も知らないで購入したのですが、一言で言ってしまうと、1989年にPC−8801
(昔あったNECのパソコンの名称です。念のため……)等で発売された同社の作品『イース3(ワンダラーズフロムイース)』のリメイクです。まあ、ファルコムお得意の……と言ってしまえばそれまでなのですが、不思議なのがタイトルが『イース3リニューアル』ではないこと。
 私も初めは「何で?」と思っていたのですが、営業戦略の一つであるのは間違いないとして、まあゲームシステムが全く違う事もその理由でしょう。後の一つは……原盤やった人が最後までやれば判ると思います。
 ちなみに、私自身は当時所持していた機種であるMSX2にてクリアしているので、内容の方は一応知っていました。まあ、さすがに15年以上前の事なので都合の良いことにもうほとんど覚えていませんでしたけどね。(^-^;A

 前置きはこの辺にしておきましょう。まずはシステム面から。
 私的にこの手のARPGはパッドでやるものだと決めつけているので、今回も何も考えずにパッドでプレイしていましたが、このゲームはキーボードだけでなくマウスにも対応しています。パッドはほんとにゲームをしょっちゅうする人しか持っていないので、普通にある入力デバイスであるキーボードやマウスに対応するのは良いことだと思います。ただ、キーボードはともかく
マウスでクリアできる人がいるのかどうか疑問ですが。イージーぐらいなら何とかなるかもしれませんが、私はやる気にはなりません。……(o_ _)o しかしながら、穴に落ちても戻れるシステムなど、初心者でもゲームが完遂できるように作ってあるのはさすがだと思います。
 あと、システムとはちょっと違うのですが、説明書の方を語らせて頂きます。まず一言言わせて貰うと……
分厚い。(・・;)
 もともとこの会社のゲームの説明書は分厚いのですが、今回のは
なんと100頁。そのうち半分がカラーという超贅沢品です。世界設定から人物紹介。果てはモンスター紹介まで……ここまで書かれて世界観に浸れないと言えばそれは嘘だと思います。また、後半部分にはトラブルシューティングが細かく書かれており、「自作での動作は保証しません」みたいなところがまるでありません。ゲーム中でもキャラクターやモンスターの説明を事細かく見ることが出来たりと至れり尽くせり。こういう姿勢がユーザーを定着させ、時代とともに他メーカーが消えていく中生き残った要因となったのでしょう。とにかく感服します。

 次にグラフィックに行きましょう。といっても、ここまで凄いとどう表現して良いのか判りません。背景が完全なる3Dでありながら、アニメキャラである人間たちに違和感がないのが見事ですね。
 グラフィックで特に目を引くのがボス戦でしょうか? 一部のボスは
とにかく派手な攻撃をしてきます。パソゲーはそもそもが重いウインドウズ上で動いているため限界が多く、綺麗さはともかく動きだけだとコンシューマーには負けている感があったのですが、このゲームは総合的にコンシューマーを上回っているのではと思います。
 あと、登場人物一人一人にイラストの使い回しがないことも評価に値するでしょう。こういうところに手を抜かないのも、ファルコムらしいですね。

 さて、私の大好きなサウンドの評価です。
 イース3のリメイクと言うことで、このゲームの曲は全てイース3のアレンジです。この原盤は私の好きな石川三恵子さんが作曲しておりお気に入りのゲーム曲の一つなのですが、
まあ素晴らしいとしか言いようがないですね。元々、ファルコムはゲーム曲をアレンジする際、原曲のイメージを損なわない良いアレンジをするのですが、今回も見事な仕上がりとなっています。ちょっとゲーム音楽から外れて劇画調になっているような気もしますが、まあ充分に許容範囲と言えるでしょう。しばらくは作業中のBGMと化していると思います。(=^^=)
 あと、原盤の未使用曲が復活しているのもリニューアル版のお約束ですね。♪ d(⌒o⌒)b♪

 さて、ようやくゲーム自体の評価に入ります。
 まず第一印象は
「良くここまで煮詰め直した」です。登場人物やストーリーが同じなだけで、ゲーム自体は完全な別物になっています。
 ゲームをやってて凄いと思ったのは、
クォータービューの3Dという画面構成と、リングアーツという独特のシステムを使った仕掛けです。なんかちらっと下の方に宝箱が見えたりして、どうやって取るんだろう?と真剣考えさせられることもしばしば。それも少しではなくかなりの数が用意されておりいろいろと楽しませてくれます。マップ自体の広さも今風に(?)増長されており、簡単に終わると言ったことはありません。私たちゲーマーはさっさと通り過ぎてしまうが、このマップ一枚書くのにどれだけ時間が掛かっているのかを想像するともう平伏するしかありませんね。
 ボスキャラもパワーアップしています。というか、ゲーム全体がかつてのイースシリーズよりも難しくなっている
ような気がします。私はノーマルのみプレイしているのですが、自身の得意ジャンルであるにもかかわらず結構手こずりました。ただ、どうしようもないと思っていても、何回かやっていると攻略できるラインを保っており、攻略のし甲斐を感じます。プレイヤーのやる気を損なわないこの微妙なラインの設定は、20年以上ゲームを作ってきたメーカーにしかできないのかもしれませんね。。
 ストーリーの方はまあ、元があるだけにどうこう語るものでもないのかもしれませんが、かなり追加部分があります。といっても大筋が変わっているってわけではありません。ただ、話を知っているからってプレイをやめるのは間違っていると思います。
知っていてもやるだけの価値が、このゲームにはありますので……。
 しかし、色々改変されているとはいえ、充分に今に通用するストーリーだと思いますよ。
 
 そろそろ纏めましょう。
 まあ、昔のイース3を知っている人も、知らない人も買って損のないゲームに仕上がっています。文句の付け所がほとんどなく、
最高級の評価を与えても良いと思います。
 一時期ファルコムに対する個人的評価は落ちていたのですが、このゲームで完全復活しました。光栄が半分ぐらいコンシューマに行ってしまった今、老舗で18禁ではないパソコンゲームメーカーとして名前をあげれるのは工画堂スタジオとここファルコムぐらいしか残っていません。やっぱりファルコムにはパソゲーの古き良き時代を語り継ぐメーカーとして、
未来永劫パソゲー一筋を全うして貰いたいものですね。

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