EVE 〜The Fatal Attraction〜 のネタバレコーナー

 えっと、私はあまりレビューの形では批判的な事を書かないようにしています。する側の人間であって、決して作る側の人間ではないので、細かい内部事情もわからないのに、偉そうな事をぬかすなと言う考えがあるからなのですが、やっぱり貴重な時間を使っている以上、あんまりな事をされると腹が立ちます
 多少のことなら目をつぶるのですが、さすがに連続して同じ事をされると一言言いたくなるのは仕方のないことだと思うので、ちょっときつめに書かせて貰います。
 ADAMのネタバレに『でも、その続編が満足できるような内容でなかったら、今度は本当に怒るよ。』とあらかじめ断っているしね。(爆)

 まず、
このゲームの存在意義を知りたいです。
 表にも書きましたが、私はてっきり続編が出ると思っていました。なのに、発売されたのは『ADAMのシナリオを変更・追加したもの』だったのです。
 元々完結させていたゲームに人気が後押しして、追加変更版を作ったというケースならまだ許せます。しかし、このゲームに関してはどう考えても違う。
わざと未完結のままゲームを発売して、それをやったプレイヤーが完結版をやりたくて買うのを狙っているとしか思えないのです。
 TFAでは、ADAMからかなりのシナリオ変更が加わっています。前作ではいなかったキャラクター(アドリア)が追加されたり、前作では死んだキャラクター(亜美)が本作では生き残っていたりと、結構大きい部分で変わっているのですが、こういう場合
次の新シリーズを作った時に大きな弊害となります。
 もし続編が出るとなれば、間違いなくADAMではなくTFAを引き継いでくるでしょう。ならば、
ADAMをプレイする必要性は全くなかったということになります。それどころか、ADAMをプレイした際に感じた、不完全燃焼という形のマイナスイメージだけが残ってしまうでしょう。
 敢えて酷い言い方をするならば、これは『会社の利益を追求するために、わざと買う必要のないゲームを発売し、プレイヤーたちの貴重な財産と時間を奪った』と言えるんじゃないかと思います。
 ……別に今回に限っての事だったら、ネタバレページとは言えここまで書かないのですが、シーズウェアは
ロストワンの時にも同じような売り方をしているので、この文章を戒めの意味で書かせて貰いました。

 ただ、それを打ち消してあまりあるものがTFAにあるのならそれは別話。たとえ借金をしても、利子付きで全額返せば済むのは道理ということで、TFAのネタバレ部分を評価しましょう。

 全体的に見ると、ADAMから追加変更を行なった部分は非常に出来が良く、プレイしている側としては面白かったです。表にも書きましたが、
休みの日にかぶりつきでやっていた日もあったほどです。
 とりあえず気に入った部分を挙げていきましょう。
 まず、追加で入った、「まりなの過去」と「桐野杏子の挿入」ですね。前者の話はこのシリーズをやってきた人間としては中々に興味深く、追加してよかったんじゃないかと思いました。そして、杏子に関しては笑わせてくれましたね。息抜きキャラとして、非常にいい感じで復活してくれました。
 それと、野郎キャラがいい味出しています。安藤の渋さは元からだけど、やっぱり
美味しいキャラクターはプリーチャーでしょう。自分の世界に入ってしまっている台詞回し、そしてあの鼻歌……。数ある悪役の中でも、かなりポイントが高いといえます。
 あと、ブレードもいい味出してますよね。個人的にはもうちょっと出番が欲しかったかな?
 それ以外に気に入ったシーンと言えば、まりなが注射されるシーンと、病院でユカが外に出た後の小次郎とまりなの会話シーン、そして小次郎達が線路の向こう逃げるのと、ブレードが格好良く敵を倒して行く2つのムービーです。注射ネタはその前の会話が真剣だったので、そのギャップの差に笑わせて貰いました。
2つのムービーに関しては言う事なしでしょう。よく出来ています。
 そしてスタッフロール前の、小次郎とまりなの会話シーン。小次郎の「なかなか、悪くない人生だ」という一言が非常に心に残りました。

 が、
誉めるのはここまでです。最後までやりきった時、結局大きな不満が残ってしまいました。もし、この不満がなければ、冒頭であそこまで書く必要もなかったのですが……。
 では、その不満点を説明します。
 このゲームで、ADAMで不満のあった部分はだいぶ解消されました。前半部分に関しては、満足行くものだったと思うのですが、肝心の後半部分、せっかく作り直した物語の
締めが非常に中途半端だったからです。
 ADAMで語られていなかった部分に入ってはじめの方はともかく、終わりに近づくにつれて話が飛び飛びに。ちゃんと話を練っていない部分がぼろぼろと出てきて、結局そのまま終わってしまっているという、
ADAMと同じ不完全燃焼状態となってしまっているのです。
 具体例を挙げると、「まりなに対する疑惑が未解決のまま」「まりながシュミットを暗殺した事に関する甲野の見解」「アドリアの死に関する小次郎の言葉」「エルディアとの仲介人が殺されたのに、何事も無かったかのように式典が行なわれている」「その式典で、なぜ貴史がプリシアを狙ったのか
(記憶が関係しているんだろうけどさ)」などなど、気になったことを羅列しただけでこんなにあります。なまじ、前半きちんと色々練っていたので、これが私には手抜きに見えて仕方がないんですね。
 そして、最後のおまけみたいなマーダーシナリオ。これが完全な蛇足でした。
 亜美の中途半端な記憶の回想ということで、見せ方としては間違ってないと思うのですが、その内容があまりにも中途半端。唯や夕子など新キャラを登場させている割には大した出番も無いし、殺人衝動に駆られようとしている貴史にユカを出会わせているのに、何の話の進展もないまま、結局貴史は自害してしまうし、なによりも最後、
いきなり「END」の文字もなにも無いまま、何事もなかったかのようにオープニングに戻ってしまう……
 なんですかこの、いかにも『おまけ』だったみたいな、
達成感の残らない終わり方は??
 せっかく本編の終わり方はそれなりだったのに、一番最後にこれをもってきたお陰で台無しなんですよ。もう少し順序や話そのものをプレイヤーが面白いと思えるように考慮すれば、充分賞賛を得れるだけのベースはあったのに、そこで気を抜いてしまっていることが残念でなりません。
 これでは、TFAを出した意味がありませんね。ADAMの不完全燃焼部分を燃やすために作ったはずなのに、
結局余計な不燃物を残しただけ……。あれだけ前半頑張っていただけに、本当にもったいないです。
 期待させておいて、結局これではプレイヤーの反感を買っても仕方がないでしょうね。まあ、ほかのプレイヤーがどう思っているのかは知りませんけど……。
 後作に追加を入れて売るというやり方は、目先の売上のためには効率的かもしれません。しかし、後作がしっかりしていないと、会社の信頼を落とすだけの両刃の剣だということだけは理解して欲しいですね。

 この話の終わり方だと、EVEシリーズは今回で最後のように思えます。しかし、売れると思ったら続編を出してくるでしょう。
 その際、自分が買うかどうかはわかりません。買うとしても、評判を聞いてから検討すると思います。もう、
「EVEだから」と言って買うことは無いでしょう。
 個人的には、あのバーストエラーの衝撃の再臨を今も期待しているんですけどね……。

 追記:気になっているのですが、スタッフロールをもう一度見たいのに、なぜか見れません。仕様なのでしょうか? あの曲いい感じだったのに、ミュージックモードにもないような気が……。一体どうなっているんでしょうね?

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