Kanonのネタバレコーナー

 えっと、今回のネタバレコーナーは、各キャラ攻略後すぐに内容をまとめたので、いつもに比べて多少内容が濃くなっているはずです。ただ、違う日付・時間に書いているものに加筆・修正をしているため、文体に多少の統一性がなくなっているかも知れませんので、その辺はご容赦ください。

★舞シナリオ(佐祐理シナリオ)★
 初めにやったシナリオだったのですが、中盤ぐらいでしまったと思いました。私は説明書のキャラクター紹介で、面白くなさそうなキャラクターをリストアップして、先に攻略する癖があるのですが、これははっきし言って順番を間違えました。
 誤算だったのは、
舞が見かけ外にボケキャラだったことと、それのブースト役がいたこと。普通、前半部分はたるんでいるゲーム・シナリオが多い中、この舞&佐祐理コンビのボケぶりがシナリオを飽きさせない。それでもって、二人が持った過去の重さ、接点。美しさに満ちてます。
 特に印象に残ったシーンといえば、舞が舞踏会で暴走した所、祐一が学校を去ろうとした舞を罵倒してそれを無意識に返してしまうところ。舞が始めて表情を変えた、久瀬を脅すところ。そして、一番インパクトの強いのが、
暴走する舞を抱きとめて「失いたいのか」と繰り返すところ。
 最後の戦闘シーンもとにかく引っ張ってくれました。
 しかしながら、このシナリオの難点は、
最後が非常にわかりづらいところ。舞が自身を傷つけたあと、どういう理由で未来へと話が繋がったのかがわからない。動物園にいけなくて舞が泣いているシーンが、空想なのか実際なのかもわからない。(空想だろうが) わからないではレビューが書けないので、私としては異例の読み直しを行ったのだが、それでもなんとなしにしかわからないのだから、これはシナリオの見せ方のミスでしょう。必死で綺麗に見せようとしたのはわかったのですが、もう少し誰でもわかるようなフォローの文章がが必要だったのではないでしょうか? これさえしっかりしていればまさに完璧なシナリオだったので、非常に残念ですね。
 全シナリオ中、
前半部分が一番楽しかったのはこのシナリオだと思います。
 ところで、このシナリオで他に気になるところが一つ。さんざん窓ガラスを割られているにもかかわらず、なぜに一向に警備体制を強化しようとしないのだ? 学校側…。

★真琴シナリオ★
 このシナリオも期待薄だったのですが、思いきりはずしました。あまりにも良かったので、
これ以降のシナリオが面白くなかったらと妙に不安になったほどです。
 前半は真琴の悪戯ばっかりで、特に目立って面白いところは無かった(というか、前の舞いシナリオでも、半分ぐらいはシナリオを見ていたので)のですが、真琴シナリオ本編に入ってからは美しかったですね。特に真琴の正体がわかった後の引っ張り具合は、
切なさのビッグバーゲンといったところでしょうか。これでもかというぐらいに、涙腺を狙ってのアタックが繰り返されました。
 最後の一枚の絵も綺麗ですね。舞と同じ想像に任せた終わり方ですけど、こちらの方が誰にでもわかるのでいいですね。横で一緒に気持ちよさそうに寝ているピロもグッドです。
 印象に残ったシーンをあげさせて貰うと、真琴がピロを探し出して、一人肉まんをあげているところ。美夕と中庭で喋るシーン&駅前で話すシーン。そして、終盤の盛り上がりどころで一番良かったところが、
水瀬親子と一緒に真琴とプリクラを撮るシーン。一番最後の結婚式のシーンより、こっちの方が印象に残っていますね。本当に泣きそうになりました。
 このシナリオをとにかく美しくしているのが、天野美夕の存在でしょう。このゲームは、脇役を使うのが非常にうまく、舞シナリオの佐祐理と共に、それ無くしては語れないところまでもっていくところがうまいですね。
 それ以外に、シーンや台詞じゃないんだけど、真琴が高熱にうなされるシーンで、
「時計の針の音量調節なんてできたか、よくおもいだせない」というメッセージがあったんだけど、妙にインパクトのあるメッセージだなと思いました。
 
★栞シナリオ★
 「そんなこという人、嫌いです」が口癖の薄幸の少女です。前の2キャラみたいな反則技(妖弧だの、超能力だの)を使わずに、
正攻法で切ない物語を見せてくれました。
 反面、キャラクターに突拍子のない特徴が無かったので、
前半面に印象深いシーンが少なかったのが残念といえば残念でした。ただ、「4次元ポケット」「真冬のアイスクリーム」など、他愛もない会話シーンを面白おかしく読ませる技術に長けているので、弛みを感じさせなかったのは見事です。
 それよりも、このシナリオは栞が不治の病だというのが速攻で読めてしまうので、結末がとっても気になりましたね。まあ、死んで終わりな訳がないと思っていたんだけど、初めにバッドエンドに入ったとき、
これで終わってもそれはそれで良いんじゃないかと思ったほど、後半の練りこみ方がよかったです。
 印象に残ったシーンを挙げます。まず、中庭に栞の代わりに香里が来たとき、寂しそうな表情を見せるところ。その香里が学校で祐一に泣きついたところの二つ。このシナリオも、脇役を非常にうまく使っていましたね。それと、「辛いのは…、現実だけで、充分です…」という栞の台詞。このシナリオの重さを表現するのに充分な役割を持っています。あと、
栞が窓際の席に座って空を眺めるシーン。画面の切り替えを意識的に遅くして、演出効果を高めているのが憎いです。そして、最後の栞が祐一に泣きつくシーンでしょうか? 前のほうに「でも、泣き顔だけは見た事が無かった」というメッセージがあったんだけど、それを覚えていただけに、このシーンの美しさというものがよくわかりましたね。
 
どこかで見たような絵だと思うなかれ。
 最後に一言
「スクリューパンチ味」のポテトチップス、どんな味がするのかめっちゃ興味があるんですけどね。(やっぱり血の味か?) この場面、よく見るとカッターナイフも転がっているんだよね。でも、これから死のうと思っている人が、どうして消しゴムまで買っているのかは不思議なんだが?

★名雪シナリオ★
 ええっと、このゲームの準ヒロイン役の名雪ですが、それを書く前にちょっと一言。私の
幼馴染レビューはあまりまじめに読まないで欲しい。というのは、幼馴染=大概扱いがヒロインクラス=おいしいものはとっておく主義=でも、よく会うので他のキャラクターの攻略中に、幼馴染シナリオが半分ぐらい進んでいる=攻略する際に面白みが半減している=正当評価が下せないのである。
 前置きはおいておいて、名雪シナリオの感想に入りましょう。
 このキャラは「女の子」って言うのが前面に出ていましたね。イチゴと猫がすきという設定をよく使いこなしていたと思います。あと、朝が弱いという面。前半部分の何気ない会話シーンは、これらを使いこなしたからこそ、面白みが増長されたと言えるでしょう。 特に、寝起きシーンは笑わせてもらいました。16日の「寝たまま着替え」は、どこまでネタを引っ張るのかって感じでした。
 ただ、前半部分が凝っていた分、
後半部分が他のシナリオに比べて淡白だったような気がします。もちろん、これで普通のボリューム以上はあるのですが…。
 印象に残ったシーンも残念ながら余りありません。あえて挙げさせてもらうとすれば、「名雪が、悲しみに絶望して、俺を拒絶したら…、俺はそれでも名雪を信じることができるだろうか? 最後まで名雪のことを好きでいられるだろうか。」以下続くメッセージ。部屋に名雪が引き篭った場面が盛り上がるように、前のほうにうまく仕掛けてあるんですね。メッセージがここに書ききれないほどに多く、決して淡白に仕掛けを終わらせなかったのがよかったのでしょう。
 あとは、やっぱり祐一が7年前行かなかった約束の場所で待ちつづけるシーンでしょう。
瞬間バッドエンドかと思わせる回想シーンが絶妙ですね。
 もう一つ、エピローグの
録音機能付き目覚し時計ネタは笑わせてもらいました。「ずっと証拠残っているよ」の台詞の意味がわからなかったのがそのまま引っかかっていたので、つぼにはまってしまいました。
 …おっと、書き忘れるところだった。約束の場所に名雪が現れたあとにある、左の方に順に表示されるメッセージ群、今までの中で一番見せ方がうまかったと思いますよ。

★あゆシナリオ★
 
めちゃくちゃ期待して、最後の切り札に取っておいたシナリオです。正直言って、他のシナリオやっている際に大体の展開を読んでいたので、想像を膨らませながら早くやりたいと、自分で後に取っといておきながら本気で願ったものです。
 そして、予想道理の美しい展開。
これぞ美しさの大爆発って感じでした。
 印象に残っているシーンはいっぱいあります。何気ない場面で、印象深いのが多いですね。頭を撫でられてくすぐったそうにしているところ、
背中についている羽根を見ようと、その場でくるくる回るところなど、想像するとすごく可愛いですね。
 後半面では、夢のシーンで人形に願いを託すところ。学校に行きがけの祐一をあゆが泣きながら追いかけてきたところ。秋子さんの看病をしていて、そのまま眠ってしまったところの画面はとっても綺麗な絵だと思います。あゆの通う学校の正体っていうのも、なかなか美しいシチュエーションですね。学校が実在しないものだというのはすぐにわかったのですが、どうしてその学校が生まれたのかという設定は、
実にこのゲームらしいです。
 まだあります。傍目に見るといいかげんな確信で動く祐一の言葉を信じ、探し物を手伝う香里と北川。北川はよく使いこなされている脇役の中でも印象が薄いのですが、このシーンを含め、本当に嫌味のないキャラクターに仕上げていたと思います。
 あと、あゆが木から落ちて、約束の指を切る前に意識を失ったところと、切り株の前で祐一が夢から覚めたシーンは、思わず息を飲んでしまいましたよ。
 で、最後に、
あゆが最後の願いを言うシーン、「祐一君。ボクのこと、忘れてください」と、それ以降に続く台詞は本当に泣けました。このゲームの中では、個人的には真琴のプリクラシーンと双璧の感動シーンだと思います。
 本当に内容を期待して、これほど期待通りだったことは初めてではないでしょうか。このゲームをやって本当によかったと思いますよ。あえて言うなら、
エピローグでも祐一が条件反射であゆを避けてしまうというシーンがちょっと見たかったですね。
 最後に。7年前のことを覚えていた秋子さんは、このいるはずのない少女をどう見ていたんだろうか、とても気になります。

 いや、本当にやってよかったゲームだと思います。嫌味な部分を排除して、
美しさを見せるためにシナリオ・グラフィック・音楽・演出効果と、すべてに努力したのが伝わってきました。探せばあらはあるのですが、そのすべてを打ち消すだけのいい部分があり、10点評価をしても10点を上げれるだけのものはあるでしょう。
 表のレビューにも書きましたが、本当に見事の一言ですね。
 最後に、ネタバレのところではあまり名前を出さなかったのですが、秋子さんは
「最強の脇役」だと思いますね。深く関わってきたシナリオがないのに、その存在を忘れることができないのだから…。

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