AIRのネタバレコーナー

 ええっと、始めに断っておきますが、このネタバレコーナーはいつも以上に危険性が高いので、ゲームをプレイしていない人は必ずここで帰ってください。
 なお、上記に記載した事を無視してこのレビューを読んだことに関して被った被害等は、当方では一切責任を持ちません。あしからずご了承ください。(笑)
 念のための改行…。(笑)


























 このぐらい改行しておけば問題ないですね…。私自身ネタバレにはうるさい人間なので、こういう扱いには気を使いますね。特にこのゲームは、ゲーム自体に
メーカーがいろいろ細工して隠している部分がありますから。
 まじめにレビューしましょう。しかし、書きたいことがいっぱいあって、一体どこから書いていいのやら…。
 一番最初にですが、表のレビューに掛けなかったこのゲームの欠点を述べましょう。それは…
 「シナリオの隠匿性が高すぎて、最後までゲームやった人同士でしかまともな話が出来ない」ということ。
 だって、どんなに神奈や裏葉が気に入っても、「AIR」シナリオに感動しても、その感動を
やってない人に伝えることが出来ないんだから。これらは、その存在自体がネタバレですからね。勿体無い勿体無い…。
 これ、この世界観だから許すけど、あまり乱用しないで欲しいな。
私、隠しキャラやシナリオは嫌いです。
 …話を変えましょう。このゲームも設定で勝っている部分がありますね。それは、「学生ではない上、主人公の寝床が一定しないため、
特定人物のシナリオが無駄に進まない」という事。大体他のゲーム(kanonもそうだが)は、良く会うキャラクター(例えば、義理の妹とか、幼馴染み)のシナリオは無駄に進んでしまって、初めの方にやっておかないとそのキャラクターの面白みが半減してしまうという弱点があるのですが、このゲームは設定がそれをうまく回避しているんですね。たまたまなんでしょうけど…。
 さて、メインシナリオのレビューに入りますか。例によって、攻略順です。

佳乃シナリオ
 しまったなあ。実は、今回各キャラ攻略時にレビューを書くという方式を忘れていたので、ゲーム終わったあとにこの部分を書いているのですが、ほかのキャラクターをやった後だとあまり覚えてなくて…。なんか、メモ書き見ても、あまり書き込みたこと書いていないし。
 おや、これって、
それだけ印象が薄かったことなのかな? 後のシナリオのインパクトが強いので、多分かき消されてしまったのでしょうね。このゲームも例によって、プレイ間隔があいてしまったので…。良く見れば、一番最初のセーブデータ、10月末のタイムスタンプが残っているし…仕方がないか。
 でも、それを除いても、ちょっと佳乃のインパクトが弱いと思いますね。佳乃のポイントといえば、右手のバンダナと、「○○1号に任命するよ〜」シリーズぐらいでしょうか。その弱さをカバーするためなのか、佳乃には聖だけでなく、ポテトという脇役がいます。だいたい、ポテトとセットでちょうど一人前といったところでしょう。
 それよりも、
強烈な印象をもっているのが聖ですね。美凪シナリオでもおまけで出ているし、きっと話を作る上で使いやすかったんだと思います。
 このシナリオので印象に残ったシーンといえば、聖が小さいころに佳乃と一緒に祭りに行った事を回想するシーンでしょうか? このシーンが上手く書けているから、一番最後に、佳乃に風船を買ってあげたあと、泣いているのを隠すために慌てて走り去ったシーンが綺麗に見えるんでしょうね。住人が「うれしかったんだろ」と一言で終わらせてしまったので、
何気なしに過ぎがちなメッセージですが、私は非常に頭に残りました。
 あと、そのシーンのちょっと前にあった台詞で、「好きな者を残して自分だけさっさと死ぬなんて、私は決して許さない」というものも、このキャラクターのいいところがよく出ていると思います。
 それともうひとつ、印象に残ったといえば佳乃が母親と会ったシーンでしょう。その佳乃の台詞は本当になきそうでしたよ。このシーンをさらに演出している音楽も評価したいですね。この「鳥の詩」のオルゴールバージョン(羽根と言う曲です)、素晴らしいと思います。
 …しかしながら、このシナリオの結末である白帆の話。これって結局のところ、平たく言ってしまえば佳乃は「白帆の念にとり憑かれた」という事なんだよね? なんか、あまり美しくないなあ。
 でも、このシナリオの結末が、
このゲーム中で一番いいような気がするのは私だけでしょうか?

美凪シナリオ
 このキャラはいいですね。外見は可愛いのに、
そのズレ方が見事。そして、キャラクターを象徴する謎の数々。ちょっと書いてみると、「お米券」「カッターをはじき返す裁縫技術」「気配を消すことができる」など。そのリアクションにも思わず笑ってしまうシーン(汚れた人形を見た時の反応とか)が満載で、個人的にはこのゲームの一番のお気に入りです。
 しかし、そのエンディングは…。一番最後のシーンは
本気で泣かされましたね。これは、よく似たシチュエーションで同じく感動の渦に巻き込まれたoneの茜シナリオに匹敵するでしょう。
 それと、脇役のみちる。いや、
脇役と表するのは不適切なような気がします。これは、すでに美凪シナリオではなく、美凪&みちるシナリオと呼んだ方がいいでしょうね。まあ、このキャラには史上初(?)の脇役に用意された曲(てんとう虫)があったり、紹介されている全キャラ中唯一姓がなかったりと、初めから怪しさ抜群でしたが…。
 印象に残ったシーンを。まず、美凪がシャボン玉を飛ばしたシーンのあと、みちると美凪が一緒にふわふわと揺れているシーン。何気ないワンシーンですが、想像して妙に笑わせてもらいました。次に、中盤の8月1日から2日以降に続く、美凪が駅前にこなくなって、みちると2人で待つところ。1日はこのゲームでは考えられないほどにあっさりと終わって、2日目は日付が変わるところで
音楽を鳴らしたままという小技を使っています。前からたまにやっている小技ですが、美凪がいない日々の虚しさを上手く表現できたんじゃないかと思います。
 このシナリオはバッドエンドも凝っていますね。初めにこちらの方に入ってしまって、(仕様上初めはこっちにしかこないのかな?) 
この展開を見たときに、正規シナリオと勘違いしてしまいましたよ。まあ、パッケージの金網越しにみちるがこちらを見ているシーンがなかなかでなかったので、なんとなしに「バッドかな」と思っていたんですけど、その引っ張り具合と美しさにてっきり騙されました。
 バッドの方で印象に残ったシーンは、みちるが消えた後、学校の屋上で美凪が母親と向き合えなかったことを告白するシーンでした。住人の淡々とした口調が印象的で、久しぶりに開いた口が塞がらなくなりましたよ。
 正規エンドの方は、
みちるが最後の願いを住人に言うシーンが気に入っています。見せ方がうまいですね。この、住人が美凪の元へ雨の中駆けるところと、願いの内容を伝えるところをミックスさせるところがですね。
 あとは、みちるが美凪の家に行くシーン。一番最後の、
涙を流して微笑むみちるが印象的です。
 そして、初めに書いた一番最後のシーンでしょう。名曲「銀色」で飾られたこの場面。あの、笑顔で涙を流しながら「うん、泣いてないよ」の一言。こちらも真剣に泣かされました。
 ところで、このシナリオは結局住人は美凪の元を離れてしまうんですね。その後は想像なんですが、まあ、みちるの代役もいることだし、一番最後の
うれしそうな美凪の表情で許してあげるとしますか。
 最後に一言。美凪は父親よりの子だったと本人が言っている割には、母親への愛情も深かったように思わせるシーンがありますね。それなのに、何で美凪の母親はあんなことになってしまったのでしょうか? それだけは、今になっても不可解です。

おまけ…
 本来なら次に観鈴シナリオをやっているのですが、最後にまとめて書きたいので、ちょっと息抜き。どのシナリオにも属さない、おまけ的なことを書きます。
 まず、商店街の背景。古本屋の看板の左横に「ロリコン」と書かれた看板があるのに気づきましたか? 字が薄いので見づらいのですが、これ、いったい何屋なんでしょうね。
 次に、子供たちが食べていた「バニラ・ストロベリー・チョコ」の三段重ねのアイスキャンディー。これって、数十年前に30円(後の方は50円に値上がりしていた)で販売されていた
「三色アイス・王将」ですよね。私はこのアイスが好きだったので、このメッセージ読んだ後無性に食べたくなりましたよ。もう売ってないだろうけども…。
 こっから先は後で述べる観鈴シナリオの内容から。
 これは…明らかに狙ってやってますね。kanonの謎ジャムに続いて、
かりんとう事件です。いったい何と間違えたんでしょうね。シナリオの担当さんの性格からして、適当ではないことは間違いないとは思うのですが…。それと、kanonの秋子さん同様、晴子さんの職業もわからずじまいです。こういう、プレイヤーの想像に任せたといったネタを作るのが好きなようですね。
 あと、橘敬介の年齢。この人、
本当にいくつなんでしょう? 晴子さんが28と言ったのを敬介が否定しなかったのでそれが本当として、郁子と三人が幼馴染みたいな表現があったので最大でも5歳程度上と考えても33歳。観鈴が16歳として、17歳の時の子供? ほんまかいな?? とても、17で子供作るようなキャラクターに見えないんですけど…。

神奈シナリオ(summer)
 隠しシナリオその1です。まあ、内容はともかく、ゲーム始めたとたんに隠しがあるのは読めていました。あの、ゲームスタートを選択した瞬間、
意味不明のシナリオ選択画面。「DREAM」しか選択できない上、下のほうに妙な空間が…。
 あと、全トラック数の割にはなんか少ないミュージックモードの曲数、グラフィックモードの右下に空いた不自然な空間と怪しさ爆発。でもさすがに、タイトル画面の海が夕焼けになった時には、思わず「おおっ」と言ってしまいましたが。
 しかし、よく練りこみましたね。これほど練りこんだシナリオが隠されているとは、さすがに読めませんでした。
 余談ですが、正暦5年は、
西暦994ですね。ネット環境に繋がっている人は、気になって速攻で調べた人が多かったみたいですよ。
 表のレビューで述べることが出来なかった点をちょっと。音楽ですが、この神奈シナリオでかかる曲はどれもいいですね。落ち着いた感じがヒーリングミュージックみたいな「蝉衣(せみごろも)」、本来嫌いなはずのリズムだけで構成された曲なのに、そのリズムがなぜか乗ってしまう「神薙(かんなぎ)」の二つが特にお気に入りです。シナリオ中盤まで、ずっと神奈シナリオ限定の曲ばかりが流れているので、やっているうちにAIRと別のゲームをやっている錯覚に陥りましたよ。
 さて、シナリオの評価ですが、
隠しには勿体無いですね。物語の構成上、最後は悲しい結末が待っているのが解っているのに、結局は納得させられてしまいました。このシナリオにはまったく選択肢が無いのですが、完全なデジタルノベルと化しているにもかかわらず、じっくり読ませてしまう物語の表現には舌を巻きます。
 とにかく登場人物がいいです。ヒロイン役の神奈の個性(ひょっとすると、
メイン3人よりも個性豊かなのでは?)はともかく、脇役の裏葉や、主人公柳也もいい個性を出しています。特に裏葉は個人的には神奈と同等位に気に入っていますよ。まあ、Hシーンがあるぐらいだから、すでに脇役扱いではないのかもしれませんが…。
 気に入ったシーンは2つ。神奈を連れ出す時の、神奈が寝ぼけているところと、
母親にお手玉を見せるシーン。お手玉はただ単に神奈の個性を強めるための遊びだと思っていたのですが、このシーンに繋げるためとはまったく読んでませんでした。しかし、泣けますねえ。Keyは知っているんだろうね。引っ張ってハッピーエンドになるより、引っ張って引っ張って、それでも報われない物語の方が美しい(母親は満足していたようなので、別に報われなかったわけではないのだが…)ということを…。
 しかし、
こういう物語を乱発されたら、ちょっとシナリオ不信になるかも? 本音は、やっぱりハッピーエンドですね。

観鈴シナリオ&そらシナリオ(AIR)
 最後に、最終シナリオである「そらシナリオ(AIR)」と、その複線になっている観鈴シナリオのレビューをしたいと思います。
 これはもう
「問題作」と言っちゃっていいでしょう。読んだわけではないのですが、結末に関して各所で話題になっているのが想像できます。
 シナリオ自体は面白い見せ方だと思います。はじめに外から見た観鈴を見せておいて、後から「そら」の視点に変えて、観鈴の内面と観鈴シナリオで途中で止まってしまった物語を最後まで見せる…。あの時のあのシーンは、実はこうだったと言う裏が見れるのは、シチュエーションとしては
読む側の興味をくすぐりますね。でも、表がしっかりしているから、こういう裏シナリオが面白いんだと思います。
 しかし、冒頭のしつこく住人に食い下がる、一見すると馬鹿みたいな観鈴に、こんな裏があったとは…。いくらゲームのキャラクターだからって、普通ここまでやったら逃げるぞと思っていたので、このシナリオで妙に納得すると同時に、
めちゃくちゃ観鈴が可哀想に思えてきましたね。この観鈴と言うキャラクター、かわいそうなヒロインbPを決めるコンテストがあればトップになるのではないでしょうか?
 印象に残ったシーンを、観鈴シナリオとそらシナリオと分けて書きます。
 まず観鈴シナリオですが、観鈴の日記を覗き見るところ。川口の家に電話をかけている時に、観鈴が電話を横取りして切ってしまうところ。住人が自分の過去を回想するシーンの3つを特に上げたいですね。
 しかし、辛いシナリオです。このレビューを書くために、部分的に読み返してみたのですが、
ネタ知っているのに辛いです。とても切なくなってきます。今までのゲームに、読み返しですらこんな気分にさせるゲームシナリオがあったでしょうか? このパワーは驚異的ですね。
 そして、一番最後のそらシナリオ。この
シナリオと言えば晴子さんです。観鈴シナリオでは、断片的にやさしそうな部分を見せるも、最後に唐突に消えてしまい、このキャラクターは一体なんなのだろうかと思ったんだけど、その話の裏を読んだ時には10秒ほど止まってしまいました。そして、この後の展開…このシナリオの後半部分の主人公はそらではない。ヒロインは観鈴ではない。はっきり言って、主人公もヒロインも晴子さんです
 そらシナリオで印象に残った場面は、トランプの最中に泣き出した後の、そらに向けた「後ろの席で一人でいるのは寂しいよ。みんなの楽しそうな姿、ぜんぶ見えるから」と言う
観鈴の台詞。来るものがありましたね。次に、そら(住人)が人形を咥えて走り回り、観鈴を笑わせようとするシーン。このシーン以降は…とにかく晴子さん最高 でも、悲しいです。
 どれも印象に残っていて、挙げだすと切りがないのですが、あえて挙げるとすれば、まず最初に「観鈴を取っていかんといてや!」と、敬介に対して感情を剥き出しにした場面。砂浜で観鈴が
何もかも捨てて晴子のところへ歩み寄ろうとした場面…別に印象に残る台詞じゃないと思うんだけど、「…な、あの子、なに頑張っとんのや…。大好きなぬいぐるみや、ジュース、放り出してまで…」と言う晴子さんの呆然とした台詞が、しばらく頭にこびりついていました。
 そして、最後のシーンである
「ゴール」シーン。ただでさえ切なさを演出する「銀色」でプレイヤーの心を打っているのに、スタッフが苦心して隠した歌、「青空」まで流れた時、本当に「やられた〜!」と思いましたよ。まさに一球入魂、これを演出したいがために、ミュージックモードの二段階変化までやった努力には頭が下がります。これぞ、なんに対しても妥協を許さないKeyのゲームを象徴するシーンですね。そしてこのシーン、もうなにも言うことがありません。ただ悲しく切ない終わり方ですけど、その破壊力は下手な比喩が出来ないほど…。
 個人的には、きっちりとしたハッピーエンドをやって欲しかったのですが、これだけ引っ張った物語の重さを軽いものにしてしまわないためにも、
こういう終わらせ方でよかったんじゃないかなと思います。もちろん、このゲームのこのシナリオだから許せるのですけどね。
 スタッフの方々、お疲れ様でした。

 …本当に一番最後のシーンですが、私は堤防に腰を掛ける二人の姿が何を示すのか、断片的にしか解りませんでした。はっきり言って、シナリオ担当のレベルの高さに、私はついていけなかったようです。
 ちょっとひどい言い方をすれば、
自己満足に陥ってしまい、読む側への考慮が足りなかったのではと思います。私の知り合いは、自分なりに結末を読み取るのに4回読み返したと言っていたので、私自身の理解力のなさが悪いとは一概には言い切れないようです。私も観鈴シナリオ&そらシナリオぐらいは、もう一回はじめから読み返してみてもいいのかもしれませんが…。先ほど述べた知り合いは自分なりの結末が良くなかったようで、かなりダークに陥っていました。もちろん、シナリオ担当の意図するところは、私の知り合いがたどり着いた結果とまったく違うところにあるのかもしれませんが、私自身追求していって、悪い方向に行ってしまうのが怖いのでやめておきます。
 今現在
「AIRはいいゲーム」というイメージが私の中にあるので、それを大切にしたいので。
 ただ…、次は誰にでも解るようなものをお願いしますね。読み返しなしで、その世界のすべてを把握できて、なおかつ美しいものをね。
 出来ないとは、言いませんよね?

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