ワイルドフォース&カナン 〜約束の地〜

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ワイルドフォースカナン 〜約束の地〜

 最近一本道のアドベンチャーが滅茶苦茶減っている。個人的には、ハッピーエンドを見るためにいろんなルートを通らなければならないマルチエンディングより、一回ですべてを見られる一本道の方がすきっとしていいと思うのだが…。
 そんな一本道のゲームの中で、個人的に高評価をしている、『ワイルドフォース』『カナン 〜約束の地〜』を紹介しましょう。
ワイルドフォース ゲーム画面 なぜ2本の紹介かというと、この2つのゲームは完全にストーリーがつながっているからです。厳密にいうと、このゲームは『GAOGAO!シリーズ』といわれているものの3作目と4作目に当たります。ただ、1作目『ラジカルシークエンス』、2作目『パンドラの森』とは、同じ世界だけど時代が違うのでプレイには支障はありません。(私は上記2作をプレイしていない) 本来、ワイルドフォースでシリーズ完結だったところに、さらにその後編を作ったのだから、そこそこ人気はあったのだと思います。
 ちょっと内容に触れてみましょう。
レオナ&ドーラ 舞台は遠い未来。人間たちはその文明と共に滅び、代わりに世界には『変異体』と呼ばれる、動物の耳やしっぽを持つ獣人たちが存在していた。
 狼の変異体である主人公ウルフィは、ひょんなことで出会ったウサギの変異体ラビィと共に地下世界に落ちてしまう。そこで勇者に祭り上げられてしまったウルフィは、ちょっとピントのはずれた鳥娘ニースや、かつての勇者の末裔に当たる豪気な山猫娘イリアなどと一緒に、変異体を脅かす存在『闇喰い』のリーダーである、『光喰い』ブルーを倒す旅に出る…。と、ここまでがワイルドフォースの話。カナンでは、一年後のウルフィ達と、変異体の目から逃れて生活してきた、『ニンゲン』の生き残りである少年カイトの話が交互に展開される。
「光喰い」ブルー 総合的に見てみると、別段真新しいものは(当時でも)感じない。ゲームシステムも至って単純なもので、「話す」や「見る」といったコマンドを選択して、展開していく話を読むといったところもごく普通。別段すごいアニメーションをするといったことも(メッセージ横の顔グラフィックはパターンが豊富で見ていて面白かったが)ないし、アピールポイントといえば、獣人ばっかりということで猫耳やウサギ耳の女の子がでてくることくらいかもしれない。
ウルフィ しかしながら、その物語には「やってみないとわからない面白さ」があると思う。一本道のゲームはプレイ時間が短くなりがちだけど、このゲームはそのメッセージ量の豊富さが功を奏して決して短くはない。話をつなげるための台詞だけじゃなくて、キャラクター同士の他愛もない会話にも力が入っている。そして、その登場人物の個性も、敵味方問わず豊か。上記のキャラクター以外にも、薄いけど勇者の血を引く双子の姉妹レオナ&ドーラや、敵の大将で食えない男ブルー(このキャラすごくお気に入り)、奇跡の少女ミラにマッドサイエンティスト・カイン。それにくっついている子犬のような少女ルウリィ(この3人はカナンの登場人物)など、印象強いキャラが満載している。だから、読んでいて飽きない。
 そして、なによりも素晴らしい点は、物語が美しさ至上主義の私の趣味にぴったり当てはまっているところだろう。
カイト 全体的にライト感覚で、どろどろしたところは見あたらない。敵に関しても、ただ悪の限りを尽くしているんじゃなくて、彼らには彼らなりの理由があるといったところがいい。話の盛り上げ方も上手く、ワイルドフォースの前半こそだらだらした印象があるものの、そこから先は完全にのめり込んでしまった。最後のまとめ方も良く、一回きりとはいえ両作品とも満足のいく出来だったと思う。
カナン ゲーム画面 またこのシリーズ、非常に音楽の出来が良かった。MIDI音源を使っていたんだけど、MIDIを使ったゲームの中では、カナンあたりは私のプレイしたゲームの中でも上位三傑に入っているほどなのだ。
 個人的にはいうことなしのこの2本。カナンの方はともかく、ワイルドフォースの方は入手が困難。また、98用ソフトということでDOS/V環境ではプレイできないのが難点だが、このゲームの開発元フォア・ナイン(現ブランド名はアプリコット)は、紹介した2作品を含む『GAOGAO!シリーズ』を『ミューティア・クロニクルシリーズ』としてウインドウズ版を開発中であるとのこと。(99年1月現在) ただ、この会社、異常に開発が遅い。カナンの発売も一年以上待った記憶がある。そういうわけだから、気を長くして待ってみるといい。個人差はあると思うが、決して「損」はしないはずだ。

追記…アプリコットは「キャンドル」に社名変更したようです。なお、ミューティアクロニクルシリーズの第1弾で、旧作の「ラジカルシークエンス」に当たるゲーム
「シルバージーン」が発売されています。(2001年4月現在)

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