ボクシング観戦記

2002年6月16日 明石産業交流センター


 今日は駅前の明石産業交流センターで開催されたボクシング興行を見に行ってきました。
 メインイベントは、この間全国放送で日本屈指の実力者リック吉村を一方的に打ちのめして人気急上昇の佐竹政一、東洋太平洋タイトル7度目の防衛戦。相手は元韓国チャンピオンで現在東洋ランキング3位の朴煥榮。サウスポーで12勝のうち11がKOと言う強打者で、侮る事は出来ない。
 佐竹はこの試合に勝つと念願の坂本との「平成対決」に持ちこむ事が出きるが、クリアする事が出きるでしょうか?

 まず、他の前座の試合をレビューしていきましょう。

★堀川昌憲×田上力
 堀川は見事な爆発ヘア(カーリーヘアというらしい)が印象的で、ちょっと髪形が違うものの、瞬間具志堅を思い出される容姿です。
1R 前半は堀川のペースか? 開始1分半頃、バッティングで田上の左眼の上が切れる。しかし、血まみれなりながらも、田上は強打で奮闘。2分頃に今度は堀川の足が揺れたが、相手にしがみつきダウンを拒否し、必死で生き残る。
2R 開始早々田上の眼にドクターチェックが入る。1分ほどで再びチェックが入り、そのまま試合終了。1分18秒、テクニカルドローで試合終了。田上は押していただけに残念だろう。

★秋山智喜×中村元彦
 中村選手は戦績が3戦全敗。奮闘してもらいたいものだ。
 対する秋山選手はデビュー戦で、秋山はラウンド開始ごとに「お願いします」と一言。(そう聞こえた) 感じの良い選手です。
1R 開始早々、中村が突っかける。しかし、いきなりオープンブローで注意を受ける。再開後も再びオープンブローを繰り返す中村に減点処置がなされた。そのあと、秋山が逆襲、残り10秒で相手を追い詰める。
2R また中村が突っかけるが、右フックのカウンターをきっかけに秋山が攻撃を開始、最後に右フックが入ったところでレフェリーが試合がストップした。TKOタイムは2分27秒。
 中村選手は試合開始直後のオープンブロー連発に、2ラウンド中盤に見せた後ろ向きになって逃げると言うおおよそボクサーらしからぬ行動など、基本的なことが未熟な印象を受けました。しかし、最後に大きな声で「ありがとうございました」と一言、リングを去る姿は素晴らしかったと思います。

★古澤崇×磨田右三郎
 古澤の試合前のステップが良い。デビュー戦らしいが、プレッシャーを感じている様子は微塵も無かった。
1R 古澤は打ち終わり狙いか。磨田(ときたと読む)の攻撃が止んだところで連打で押し返す。終盤に少し、打ちあいが展開される。  しかし、磨田サイドのオッサン(トレーナーだろうか?)の声が妙にやかましい。そんなにたくさん言われても理解できないと思うのだが……。
2R ラウンドの中盤に古澤のパンチがヒットしたのを皮切りに、打ち合いが開始されるが、それ以外は比較的探り合いが続く。
3R 打ち合いがたまに展開されるが、お互い攻めきれない。少し古澤が有利に見える。
4R 磨田が頭を低くして出るが、古澤は4連打がヒットしたのをきっかけに、一気に攻勢に出る。そのまま判定まで行ったが、古澤が一人のジャッジがフルマークを記すほどの大差にて判定勝ちした。

★福田耕平×田呂丸誠二
1R 田呂丸はサウスポー。開始ラウンドは福田のボディーが良くあたった。しかし、ラウンド中盤福田が左フックを空振りした際に大きくバランスを崩す。打ち方に問題があるのだろうか?
2R 今度は田呂丸の左右フックが面白いように当たる。しかし、福田は効いていないと相手を挑発、ふらふらしながらも必死で応戦する。
3R 福田は徹底してボディー狙いに、田呂丸は左右フックにボディーで応戦。面白いように田呂丸のパンチが入るのだが、福田は倒れない。田呂丸はボディーが効いたか、いまいち攻めきれない。
4R 耐える福田。しかし、さすがに打たれすぎた。連打が入ったところでレフェリーがストップ。1分12秒TKO勝ちで田呂丸が勝利を収めた。

★竹村貴宏×長尾俊輔
 竹村は以前にも見た選手。その時は1発KOで相手を沈めたのだが、今日はどうでしょうか?
 対する相手の長尾は日本ランキング7位の選手。竹村は挑戦する立場です。
1R 素早い長尾が、鋭い踏み込みと共の連打で少し有利に見える。
2R 竹村にスピード感は無いが、じりじりと前に出る。しかし、長尾は竹村のパンチを首を捻っていなすなどしてあしらっている。
3R 2ラウンドと同じような展開が続く。長尾の左ボディーが連続で入った。
4R 下がりながらも手数で上回る長尾の攻勢が続く。竹村はいまいち調子があがらないようだ。
5R ラウンドの終盤、竹村のボディーをきっかけに打ちあいが展開される。だが、全体的に長尾攻勢か。
6R 少し長尾の手数が減るが、それでも長尾が有利に見える。
7R 2分頃、竹村の右ストレートがヒットし、一気に責めるが責めきれず。長尾は上手く捌いていた。
8R 長尾の手数が復活。必死で攻める竹村をパンチで抑える。そのまま判定にもつれ込むが、大体3ポイントのリードで長尾が勝利を収めた。

★戎岡淳一×高橋宏和
 3度目の観戦となる戎岡兄弟の弟の登場。知らない間に、日本ランキングの9位にまで上がってきていた。
 対する高橋選手は一つ下の階級だが、11戦全勝と素晴らしい成績。日本ランキングも6位につけ、私が良く見ているサイトでイチオシ選手に名前が上がっていた強敵ですが、どうでしょうか?
1R 戎岡は左ジャブとワンツーが良い。高橋は左のフックとアッパーが鋭い。僅かに左を多く当てた戎岡が有利か。 ラウンドの再中に、高橋陣営から掛けられる時間経過の声が妙に息が合っていて特徴があった。
2R 高速の展開。お互いクリーンヒットはなしか。戎岡のジャブが良い。
3R ラウンドの前半、高橋の右が2度ほど綺麗にヒットする。
4R ラウンド中盤、戎岡の右アッパーがクリーンヒット。下がる高橋を終始攻める。高橋も必死で応戦するが、効いたのか疲れたのか、押し返すだけの力が無くなっているようだ。
5R 戎岡の右ストレートがクリーンヒット、場内の歓声と共に一気に攻めるが、ここは高橋が上手く捌く。しかし、ガードを下げたままふらふらと下がるなど、やっぱり高橋は疲れを隠せないようだ。
6R 左ボディーで高橋が戎岡をコーナーに追い詰めるが、右フックで戎岡逆襲、逆にコーナーに追い詰める。しかし、高橋もふらふらながらに粘る。
7R 戎岡が走る。一気に決めるかと思ったが、高橋の反撃にあい以外と静かに展開する。しかし、中盤右アッパーのヒットを皮切りに再び猛攻。良いパンチが入ったところで試合がストップされた。2分7秒TKO。
 しかし、喜び勇んでロープに上ろうとした戎岡選手が瞬間滑り落ちたのには笑わせてもらった。

★佐竹政一×朴煥榮
 ここまで試合が経過して、ダウンシーンは一度も無し。否応にも、佐竹のKO防衛に期待が掛かった。
 まず朴選手が入場してくる。丸めた背中が見事な筋肉で、いかにもパンチ力がありそうだ。しかし、対するチャンピオン、佐竹選手が入場曲が鳴っているにもかかわらずなかなか入場して来ない。じらし戦法だろうか?
 瞬間、入場曲が終わるんじゃないかと思った頃に、彼はやっと姿をあらわした。
1R 軽い左をつく佐竹を朴が背中を丸めて負う展開。クリーンヒットはお互い1回ずつ。
2R 朴の左フックが珠にヒットする。首を振ってダメージを散らしてはいるが、佐竹は離れ際の朴のパンチを捌ききれていないような気がする。
3R 朴の前進が素晴らしい。しかし、佐竹の左がそれをとめる。だが、内容的には互角か、朴が押しているようにも見える。佐竹はやりにくいのだろうか?
4R 佐竹の得意な右フックが徐々に出始めてきた。しかし、ラウンド中の「韓国から何しにきたんや」「死ね!!」という野次はどうかと思うのだが……。
5R 中盤互いのパンチがヒットしたのをきっかけに少し打ちあうが、それ以外は同じような場面が繰り返される。
6R 単発では良いパンチが入るのだが、纏めては入らない。朴が攻めては、佐竹が回る展開が続く。
7R 佐竹はやはり、パンチを出さずに頭から突っ込んでくる朴がやりにくいようだ。ぱっとしない展開が続く。
8R 再び佐竹得意の右が出始めた。3発ほど綺麗に入るが、ひるまず接近する朴。だが、2分頃、佐竹をロープに追い詰めた朴が振るった左フックにかぶせるように、佐竹の右がフックがヒット、効いた朴は必死でダウンを堪えようとするが、やっぱり前のめりに倒れてしまった。必死で立ち上がろうとするが、まっすぐに立とうとすると左右にふらふら。完全に脳が揺れているようで、構えることができないまま朴はテンカウントを聴いた。
 KOタイムは2分5秒でした。

 佐竹は苦戦したようにも見えましたが、見事な1発KOで7度目の防衛を果たしました。展開的には初防衛のスティーブン・マークス戦に似ていたような気がします。佐竹はマタドールと称されるほどにアウトボクシングのイメージが強いですが、以外と打ちあいの中で痛打を浴びせるのが上手いみたいですね。
 これで、あとは国内のビッグネーム、坂本のを残すのみです。個人的には坂本も好きなのですが、やはり地元の星に勝って欲しいものです。  早く試合が決定する事を願います。

戻る