ボクシング観戦記

2001年2月12日 明石中央体育館


 去年に引き続き、明石でボクシングの試合があったので見に行くことにした。
 興行も、去年と同じ東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチ。佐竹政一の防衛戦である。去年は一人でリングサイドで見ていたのだが、今年は元会社の同僚を誘って一緒に観戦することにした。
 しかし、その元同僚がなかなかこない。携帯に電話をしたときはもうすぐ着くといっていたのだが、それ以降携帯の電源が切れている状態。試合開始時間を10分以上過ぎてもこないので、結局一人でリングサイド席を購入、中に入ることにした。
 その待っている間に、二人の巨漢が入り口に入っていこうとした。入り口にいた会場関係者がその正体に気づく。実は明石に在住する世界アームレスリングチャンピオン金井重紀とその兄で日本チャンピオンの金井義信らしく、その関係者と握手していた。
 その人いわく、「ボクシンググローブみたいな手やった」そうだ。
 さて、試合会場へ。
 中ではすでに試合が始まっていて、2試合目をやっているところだった。
 まず、明石ボクシングジムの豊田選手と間庭選手の試合。2回に豊田の見事な右が顔面に入って、間庭はダウン。起ち上がって構えるも、その足がふらついていては試合続行は不可能だった。前回の興行は佐竹以外は明石の選手が全滅したので、これは幸先が良い。(1試合目の浜選手も明石ボクシングジム所属なのだが、結果は不明)
 次も明石の竹村選手が、対戦相手の松本選手を2回KOで下す。ただこの試合、ダウンした松本はすぐに起ち上がり、早々と構えていたのにもかかわらず10カウントをとられ、試合後納得が行かない様子だった。私の目にも、松本は余力を残していたように見えたので、なんか可愛そうだった。
 4試合目は、去年セミファイナルを勤めた戎岡彰の弟、戎岡淳一選手。センスは兄より上だと言われるボクサーである。対戦相手はフィリピンのジョセフ・ビリヤナス選手。フィリピンの選手とよく試合をしている兄と同様のコースをたどっているのだろうか?
 試合内容は、前半から戎岡の右アッパーが良い。後半はレバー打ちが目立っていた。ただ、不用意にビリヤナスのジャブをもらうシーンが多く、戎岡は長髪なのでそれをもらうと髪の毛が派手に跳ねるので、ジャッジの印象は悪かったのではないだろうか? くくったほうが良いような気がするのは私だけではないだろう。
 その試合中に元同僚から電話が入った。なんでも、携帯の電池が切れたらしく連絡が取れなかったとのこと。聞けば、2階のチケットを買ったそうで、試合終了と同時に私も2階に上がり元同僚と合流した。
 ちなみに、判定の結果は戎岡の勝ちだったらしい。これで、明石の選手は3(4?)連勝だ。
 次は、前に世界挑戦した西岡選手を輩出したJM加古川の、元日本ランカー古橋選手。元同僚は「ふるふる」と妙な名前で呼んでいた。前に辰吉の前座で出ていたときにそう呼ばれていたらしい。
 しかしそのふるふるを圧倒したのが、この後メインに登場する諸岡選手のジムメートにあたる協栄の三崎選手。パワフルな連打で古橋を防戦一方に追い込む。ファイターみたいに前に出ていたかと思うと、後半はアウトボクシングで焦る古橋を翻弄。最終ラウンドにはダウンも奪い、大差の判定で勝利を収めた。見ていて小気味の良いボクシングで、今後も期待できるのではないでしょうか?
 セミファイナル明石期待の広瀬選手の登場。対戦相手はフィリピンのモハメド・ナゼフ選手で、元々小さなバンダム級なのに、広瀬よりも頭一つ小さい。
 その小柄なナゼフの体を、広瀬の速く強い左フックが吹き飛ばす。広瀬は好戦的な選手で、2回にその猛攻に絶えられなくなったナゼフが膝をつくと、そのまま起ち上がることはなかった。ガードしていたように見えたのだが、ナゼフは起ち上がった後もふらついていたので、結構もらっていたのかもしれない。
 広瀬はパンチのスピードが速く、これから日本ランカーにその名を載せるのではないかと思われた。
 さて、メインイベントです。チャンピオンの佐竹政一は、去年のマークス戦の後、元チャンピオンの金を判定で退け、これが3度目の防衛戦。
 一方、挑戦者の諸岡正明は9年目のベテラン。過去に2度の日本タイトル挑戦を経験しており、現在も日本ランキング4位の実力者。タイプ的にはファイターらしいが、戦前予想は佐竹のスピードについて行けないのではとのことでした。
 試合が始まって一番目についたのは、佐竹が右に回りこんで右フックを引っ掛けるシーン。佐竹はパンチ力がないので、回りながらのパンチはあまり効いてはいないだろうが、ポイントを獲得する上では有効だと思われる。しかし、諸岡も頭を振って佐竹の懐に入り、結構佐竹にパンチを当てていたように見えた。
 変化があったのは10回。煮え切らない佐竹に業を煮やしたのは観客で、多分友達かジムメートだったのだろう。何を言ったのか判らなかったのだが、それを聞いた観客が一様に笑う。佐竹にも聞こえたのだろう、それまで足を使っていたが突然打ち合いをはじめた。ちょうど諸岡は疲れが見え始めたところで、そのスピードについて行けなくてたじたじになる。
 11ラウンド以降は左ストレートがよくヒットして、諸岡の顔面がのけぞるシーンが何度か見られた。12ラウンドは諸岡の膝元が怪しくなってダウンも見られるかと思ったが、そのまま判定へ。判定結果は一人のジャッジが8ポイント差をつける大差で佐竹が3度目の防衛に成功した。
 佐竹はこの試合を最後に東京進出、世界挑戦を目指しており、明石で試合をするのはこれで最後だろう。順調に世界挑戦にたどり着いて、彼が明石での試合を望めばまた見れるのかもしれないが…。
 できれば、今度はそういう興行を見せてほしいものだ。

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